思わせぶりな態度が危険という件
人間というのは自意識過剰なものである。
時として、全く必要のない心配をすることがある。
それは例えば、全く意識していなかった人から突然連絡が来たとき。
一友人として以外、まったく特別な感情を抱いていなかった人から、突然「誕生日おめでとう」というメールが来た。
学生時代のときの友人で、卒業してから何年も音沙汰がないのに、本当に晴天の霹靂のように連絡が来たのだ。
「よく覚えてたね」と返す私。
「うん、今日だなとふと思って」と相手。
たったこれだけの短いやりとりの間、私の脳細胞はすごい勢いで活性化したはずだ。
まず何故覚えていたのか。
私はその人に誕生日を教えた覚えはない。
それに、SNSでもつながっていないから、一体どこから入手したのだろうか。
もしかして、ほんの些細な会話の中で、自分でも知らないうちに誕生日を伝えていたのだろうか。
それをずっと覚えていたということか?
でも何故こんな何年も経った後突然連絡してくるのだろうか。
もしかしてこの人、私のことが好きだったのを言えずにいたのかしら…。
とこんな具合にあっという間に、脳内にストーリーが完成していた。
これはまた自分から連絡したほうがよいのだろうか。
でも全く意識したことがないから本当に付き合えるだろうか、と全く赤面するほど馬鹿みたいにヒートアップ。
けれど、しばらく連絡しないでいたが、一向に向こうからくる気配はなかった。
そして、それから二度と誕生日メールが来ることもなかった。
これは結局、文字通り「ふと思って」したことに勝手に踊らされていた、ということに過ぎない。
まさに独り相撲である。
でも、誰でもこんなことはあるのではないだろうか。
間違いない。
きっとあるに違いない。
だから、むやみやたらに思わせぶりな連絡はやめていただきたいのだ。