ピンクの頬

ついに、その人を目撃した。
彼と一緒に歩いている姿を目撃したのだ。
道端でばったりと鉢合わせした。
明らかに彼の方が彼女に気を配り、気に入られようとしている。
私に気づいた彼は、気まずそうな表情を露骨に浮かべる。

が、彼女はもの柔らかな雰囲気でわたしに視線を当ててくる。
善良そうで素直そうな瞳。
服装はけっして華美じゃない。
それどころか、幾分地味目ですらある。
でも今日の気温に適したこざっぱりとして清潔な身なりだ。
冬の外気にあてられてか、頬がピンクに蒸気しているのが素朴な風情。
「やあ、元気?」やっと彼が言う。
元気な訳ないだろうが。
内心毒づきながらわたしは返す。
「おかげさまで」。
彼女はじっと漂う気まずい空気を察しつつも、微笑みを絶やさない。
その素朴な姿が、顔が、よけいに彼の愛をリアルに浮き彫りにした。
きっと彼女はとても賢い人なのだろう。
「今日は寒いですね。」
勝者の驕りか、余裕か。
遠慮がちにわたしに声をかけてきたのだ。
わたしは、ええそうですね、とうつむいて曖昧に返事を返す。
「それじゃあ」と、彼は右手を彼女の背中に当ててあっちの方角へと歩き出した。
所有する女性を守る男の仕草。
胸にぽっかり穴があく。
やっと心臓のずきずきがおさまったと思ったら、今度はぽっかりと穴が空いてしまった。
完全な敗北。
せめて彼女がモデルのように洗練された容姿だったら。
あるいは剃刀のように切れるキャリアウーマンだったら。
彼女はそのどちらでもなかった。
体型だってスレンダーですらない、丸みを帯びたフォルム。
彼女の背中に当てられた彼の右手。
指先にまで神経を張り巡らした、油断を怠らない男の右手。
撃沈。

恋バナや恋愛相談、夫婦間の不協和音など、強烈な話

大学からの男友達は奥様に浮気OKと言われています

結婚10年目になる友達夫婦。

子ども2人を授かり、夫婦仲も順調なのかなと思っていましたが、奥様は子どもが欲しかったようで、旦那にはそれ以降愛情は薄れ、浮気OKと女遊び代としてお金をもらっているそうです。