素敵な人に感じる恋心のようなもの

素敵な人というのがいる。
でも、沢山というわけではない。
もちろん世の中には一般的に素敵な人は、それはもうごろごろいるのだけれど、他人はどうであれ自分にとってはとても素敵な人、というのが稀にいるものだ。

その人は男性の場合もあれば、女性の場合もある。
年代もまちまちだ。
ものすごく上の場合もあれば、ものすごく下の場合もある。
でも一様にいえるのは、そういう人たちはみんな色気を持っているということ。
官能的な魅力がある、といったような即物的な話ではない。
この色気というのは、自分の生き方に一本筋が通っている、という現われなのだ。
これだけは何があっても曲げられない、というものを心の中に持っている。
そういう人たちはみんなとても目に力があって、穏やかな表情にかくされていても目には人の内面を見抜くような強さがある。
人の意見には惑わされない、自分を信じて生きているひとたち。
こういう人に出会うと、男であれ女であれ、誰しもが自分のものにしてみたいという欲求にかられるのではなかろうか。
この強い瞳に自分を認めさせたい、と思わせる力。
私はそれを色気だと思っている。
なんだか試されているような、挑発されているような気分になる。
けれどそれが果たして自分にあるか、と問われると一向に自信がない。
でも、この色気を身につけられたら、どれだけ自分に自信が持てるだろうかと思っている。
だからとりあえずしっかり目を開ける努力をしている。
ほうっておくといつも「眠いの?」と聞かれるくらい目を開いていない自分ではあるが、二度とそんなことを言われないために起きているときは頑張っている。
少しでも目力をつけるのだ。

彼がナルシストだと気が付いた時

私が以前お付き合いしていた人は、今思うとどうやらナルシストだったらしいことに気が付きました。
彼はとても洋服が好きで、買い物によく一緒に行きました。
普通ならば彼女の買い物に彼が付き合わされて、文句を言うのが多いと思います。

しかし私たちの場合はほぼ逆でした。
彼の買い物に付き合うのがほとんどでした。
私は自分の買い物はゆっくり一人でしたい派だったので、よく会社帰りに一人で買い物をしていました。
ある日喧嘩をした時、もっと買い物を楽しんでほしいと言われました。
買い物に興味がないんだったら言ってほしいとも言われました。
正直、買い物は大好きです。
しかし、男の人の買い物に何時間も付き合うのはなかなか疲れます。
それに自分の好きな物に対して意見されるのも嫌でした。
何とか仲直りをし、そのあとも彼の買い物に付き合いました。
そこで私はあることに気が付きました。
これ、俺が着たらかっこいいよね、と聞いてくるのです。
本当に洋服が好きならばこの服かっこいいよね、となるはずです。
よくよく見てみると、彼は試着をした際、鏡にとても表情を作っています。
服のサイズをたしかめているというよりは、自分がどう映っているかが重要なようでした。
それを見て私は一気に恋心が覚めてしまいました。
たかが買い物の最中のことでとも思いましたが、いろいろ思い返してみると彼は自分が大好きで、常に私のことよりも自分の欲求を満たすことが最優先でした。
買い物を好きになってほしいというのも、買い物をする俺を好きになってくれという意味だと思いました。
女性としては私を大切にしてほしいと強く思ったので、私とその人の間はこれを機に少しずつ覚めていってしまいました。